- 腰痛
- 2026.09.12
どうして朝起きた時に腰が痛くなるの?
どうして朝起きた時に腰が痛くなるの?

「朝、目が覚めると腰が痛い」
「ベッドから起き上がる時が一番つらい」
「でも、しばらく動いていると不思議と痛くなくなる」
このような腰痛でお悩みの方は意外と多くいらっしゃいます。
朝は痛かったのに、顔を洗って朝食をとり、仕事に行く頃には痛みを感じなくなっている。
そうすると、
「動いたら治ったから大丈夫」
と思ってしまいますよね。
しかし、ここに朝の腰痛を考えるうえで大切なポイントがあります。
「痛みを感じなくなった=腰に問題がなくなった」とは限らないのです。
むしろ毎朝のように同じことを繰り返しているのであれば、普段の生活の中で腰に少しずつ負担がかかり続けている可能性があります。
今回は「なぜ朝起きた時に腰が痛いのに、動いていると楽になるのか?」ということから、腰痛を繰り返さないために大切なことを考えてみましょう。
寝ている間は体をほとんど動かしていません
私たちは眠っている間、寝返りはしているものの、日中に比べると筋肉や関節を動かす量が大幅に少なくなります。
筋肉には、収縮したり緩んだりすることで血液やリンパ液などの循環を助ける働きがあります。
歩いている時には脚やお尻、腰周辺の筋肉が繰り返し動きます。
ところが眠っている間は、この働きが少なくなります。
そのため、起床直後は日中活動している時と比べて、腰周辺の循環や組織液の動きがゆっくりした状態になります。
ここが朝の腰痛を考える一つのポイントです。
腰に負担がかかると小さな炎症が起こることがあります
「炎症」と聞くと、真っ赤に腫れたり、激しい痛みが出たりする状態を想像するかもしれません。
しかし炎症には程度があります。
例えば腰の筋肉や靭帯、関節などに繰り返し負担が加わると、組織に微細なストレスが生じ、炎症反応に関係するさまざまな物質が放出されます。
これらの中には痛みを感じる神経を刺激したり、痛みに対して敏感にしたりするものがあります。
日中は筋肉や関節を動かしているため循環も比較的保たれていますが、睡眠中は動きが少なくなります。
そのため、炎症に関係する物質や痛みに関係する代謝産物などが局所にとどまりやすくなることが、朝の痛みやこわばりに関係していると考えられます。
では、なぜ動き始めると痛くなくなるのでしょう?
朝起きて歩き始めると筋肉が動きます。
筋肉が収縮したり緩んだりすることで循環が促され、関節も少しずつ動き始めます。
すると、寝ている間に滞りやすかった組織液の動きも活発になります。
その結果、局所にとどまっていた炎症に関係する物質や代謝産物などが移動しやすくなり、さらに筋肉や関節のこわばりも減ってくるため、痛みを感じにくくなることがあります。
朝起きた直後には、
「腰が痛いなあ……」
と思っていたのに、
トイレへ行って、着替えて、朝食を食べて、少し歩いているうちに、
「あれ?そういえば腰が痛くない」
となることがあるのは、このような体の変化も一つの理由として考えられます。
「動いたら治った」ではないことが重要です
ここで最もお伝えしたいのが、
痛みを感じなくなったからといって、腰にかかっている負担そのものがなくなったとは限らない
ということです。
例えば、普段の生活の中で腰に100の負担がかかると痛みが出る人がいるとしましょう。
日中の悪い姿勢や座り方、体の使い方などによって毎日少しずつ腰へ負担がかかり続けている。
日中は動いているため痛みをそれほど感じません。
ところが夜になって数時間ほとんど動かなくなると、朝になって痛みとして感じる。
そして起きて動き始めると、また痛みを感じにくくなる。
しかし、日常生活で腰へ負担をかける原因そのものは残っています。
すると翌朝になると、また痛い。
これを毎日のように繰り返してしまいます。
ですから、
「朝は痛いけれど昼には治るから大丈夫」
ではなく、
「どうして毎日、腰に負担が蓄積しているのだろう?」
と考えることが大切なのです。
本当に改善した状態とは?
朝の腰痛を改善するということは、単に朝の痛みをごまかすことではありません。
大切なのは、日中に腰へ加わっている負担そのものを減らしていくことです。
腰にかかる負担が少なくなれば、夜の間に問題となるような炎症反応や組織へのストレスも起こりにくくなります。
すると、
「以前は毎朝腰が痛かったのに、そういえば最近は朝も痛くないな」
という状態を目指すことができます。
つまり朝の腰痛は、夜だけを考えるのではなく、前の日をどのように過ごしたのかという視点から考えることがとても大切なのです。
腰への負担を減らすために大切な「姿勢」
まず見直していただきたいのが普段の姿勢です。
腰痛というと「腰の筋肉が弱い」「腰が硬い」と考えがちですが、実際には腰そのものよりも、体全体の使い方に問題が隠れていることがあります。
例えば、長時間のデスクワーク。
背中を丸め、骨盤が後ろに倒れた状態で何時間も座っていると、腰の一部分に負担が集中します。
反対に、立っている時に必要以上に腰を反らせる姿勢でも腰の関節に負担がかかります。
大切なのは「胸を張って真っすぐにする」ことではありません。
一つの姿勢を長時間続けず、腰だけに負担を集中させないことです。
どんなに良い姿勢でも、何時間も同じ姿勢を続ければ体には負担になります。
30分〜1時間に一度は立ったり、少し歩いたり、姿勢を変えたりすることを心がけてみましょう。
股関節が硬いと腰が代わりに動きます
もう一つ、とても重要なのが股関節です。
例えば床にある物を拾う時、本来であれば腰だけではなく股関節もしっかり曲がります。
ところが股関節が硬い人は、本来股関節が担当するはずの動きを腰が代わりに行わなければなりません。
一回の動作であれば小さな違いです。
しかし、それを毎日何十回、何百回と繰り返したらどうでしょう。
少しずつ腰への負担が蓄積していきます。
特にお尻の筋肉や太ももの後ろ、股関節の前にある腸腰筋などが硬くなっている方は注意が必要です。
腰痛だから腰だけをストレッチするのではなく、股関節がきちんと動いているかを確認することが腰への負担を減らすうえで非常に重要です。
体幹の筋肉も「腰を守るコルセット」です
そしてもう一つ大切なのが体幹の筋肉です。
お腹や背中、骨盤周辺には、姿勢を安定させるためのさまざまな筋肉があります。
これらが適切に働くことで、体を動かした時の力を分散し、腰の一部分だけに負担が集中するのを防いでいます。
ところが運動不足などによって体幹の筋肉がうまく働かなくなると、立つ、座る、物を持つといった日常動作でも腰への負担が大きくなることがあります。
ただし、
「腰痛だから腹筋を100回しましょう」
という意味ではありません。
無理な腹筋運動は、かえって腰に負担をかけることがあります。
呼吸をしながらお腹を安定させる運動や、ウォーキングなどから始め、腰を固めるためではなく、体全体を安定して動かすための筋肉を少しずつつけていくことが大切です。
マットレスを買い替える前に考えてほしいこと
朝腰が痛いと、
「マットレスが悪いのでは?」
と考える方も多いと思います。
もちろん寝具が体に合っていない場合もあります。
しかし、マットレスだけが原因とは限りません。
毎日の姿勢が悪く、股関節が硬く、体幹の筋力が低下し、腰に負担のかかる体の使い方をしているとしたら、どれだけ高価なマットレスに替えても根本的な問題は残ります。
寝具を見直すことも一つの方法ですが、その前に、
「日中、腰に負担をかけ続けていないだろうか?」
ということを考えてみてください。
朝の腰痛は「前日の体の使い方」を教えてくれているのかもしれません
朝起きた時に腰が痛い。
でも動いていると楽になる。
これは決して珍しいことではありません。
睡眠中は筋肉や関節を動かす量が減り、循環や組織液の動きも日中よりゆっくりになります。そのため、腰に負担がかかっている場合には、炎症に関係する物質や痛みに関係する代謝産物などの影響を感じやすくなり、朝の痛みやこわばりとして現れることがあります。
そして起きて体を動かし始めると、筋肉や関節が動き、循環が促されることで痛みを感じにくくなることがあります。
しかし大切なのは、その先です。
なぜ腰に炎症や負担が起こる状態が毎日続いているのでしょうか?
そこを改善しなければ、朝になるとまた痛むという状態を繰り返してしまいます。
普段の姿勢を見直す。
長時間同じ姿勢を続けない。
股関節の柔軟性を高める。
適度に歩く。
体幹の筋肉を少しずつつける。
腰だけに頼らず、体全体を使って動けるようにする。
こうした毎日の小さなケアによって腰に加わる負担を減らしていけば、やがて「動いたら痛くなくなる」ではなく、「朝起きた時から痛くない」状態を目指すことができます。
痛みは悪者ではありません。
体が「ここに少し負担がかかっていますよ」と知らせてくれているサインでもあります。
朝の腰痛を単に「寝方が悪かった」で終わらせず、日常生活の中に隠れている腰への負担を見つけるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
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