足がつる原因と予防法
〜最近よく足がつる…そんなあなたへ〜
最近、「夜中に足がつって痛くて目が覚めた」「運動したわけでもないのに、ふくらはぎがピキッとつってしまう」といったご相談をよくお聞きします。ここでは、足がつる仕組みと、日々できる予防法をわかりやすくまとめました。

「足がつる」とはどういうこと?
「足がつる」とは、筋肉が急に縮んで戻らなくなる状態のことです。医学的には「筋痙攣(きんけいれん)」と呼ばれ、特にふくらはぎがつることを「こむら返り」といいます。つったときは鋭い痛みがありますが、数秒〜数分でおさまることが多いです。ただし、頻繁に起きる場合は体からのサインと考え、生活習慣を見直す必要があります。
主な原因
足がつる原因はいくつかあります。ここでは、よくあるものを挙げます。
① 筋肉の疲労や使いすぎ
長時間の立ち仕事や歩行、農作業などで脚の筋肉を使いすぎると、筋肉に疲労物質がたまり硬くなります。これが夜に収縮しやすくなって、こむら返りを引き起こします。逆に、運動不足で筋力が低下している方も血流が悪くなり、つりやすくなります。
② 血行不良
冷えや同じ姿勢でいる時間が長いと血流が悪くなります。筋肉へ酸素や栄養が届きにくくなり、神経が敏感になってつりやすくなります。特に高齢の方は血管の柔軟性が落ちているため、冷えによる症状が出やすいです。
③ ミネラルバランスの乱れ(特にマグネシウム不足)
筋肉の収縮にはカルシウム・マグネシウム・カリウムなどのミネラルが深く関わります。汗をかく季節や、水分不足が続くとこれらのバランスが崩れ、筋肉が正常に働かなくなります。特にマグネシウムは筋肉をゆるめる働きがあり、不足すると収縮しっぱなしになりやすくなります。
④ 脱水や水分不足
高齢になると喉の渇きを感じにくくなり、知らず知らずのうちに水分不足になっていることがあります。水分が減ると血流が悪くなり、ミネラルバランスが崩れて足がつりやすくなります。
⑤ 薬の副作用や病気の影響
利尿剤などの薬を飲んでいる方は、カリウムなどのミネラルが尿と一緒に出やすくなります。また、糖尿病や腎臓病、肝臓病などの持病がある方も注意が必要です。頻繁に起こる場合や、しびれを伴う場合は医療機関で相談しましょう。
つったときの応急処置
つってしまったときは、あわてずに次の対応をしてみてください。
1)ゆっくり深呼吸を行う。(特に吐く呼吸を意識し長く吐くことによって、筋緊張が緩和されます)
2)ふくらはぎをゆっくり伸ばす(足先を手でつかみ、自分の方へ引く)
3)温める(温タオルやカイロで血流を促す)
4)軽くもみほぐす(痛みが強ければ無理をしない、さするだけでもOK)
5)立てるぐらいに回復したら、そっと立って体重をかけて筋肉を伸ばす
ワンポイント:足先を引くときはゆっくり、深呼吸をしながら行うと筋肉が緊張しすぎず安全です。
日常でできる予防法
普段の生活で少し意識するだけで、足がつりにくくなります。以下の習慣を試してみてください。
① 水分をしっかりとる
目安は1日約1.2〜1.5リットルです。冷たい水より常温や白湯の方が体にやさしいです。コーヒーやお茶だけで水分補給をしていると、利尿作用で逆に水分が失われることがあるので注意しましょう。
② バランスのよい食事でミネラル補給
次の食材を参考にしてください。
- マグネシウム:わかめ、ひじき、納豆、アーモンド、玄米
- カルシウム:牛乳、小魚、小松菜
- カリウム:バナナ、ほうれん草、さつまいも
※過度な減塩や偏食はミネラル不足につながりますので注意しましょう。
③ 冷えを防ぐ
就寝時に靴下やレッグウォーマーを使う、湯船でしっかり温まるなどで足元を冷やさない工夫をしましょう。冷えは筋肉を縮ませ、つりやすくします。
④ ストレッチや軽い運動を習慣に
寝る前や朝にふくらはぎのストレッチ、足首まわし、軽いウォーキングを行うと血流が良くなり予防になります。
⑤ 睡眠環境を整える
布団の中で足先が冷えないように整えます。冬場は電気毛布や湯たんぽで足元をやさしく温めると良いですが、温めすぎて脱水にならないように注意してください。
東洋医学(鍼灸)の視点
東洋医学では、足がつる状態は「血(けつ)や気(き)の巡りが滞っている」ことと考えます。特に肝や腎の働きが弱ると筋肉や腱に栄養が届きにくく、けいれんが起きやすくなります。
当院では次のような鍼灸アプローチで再発を防ぎます:
- 血流を改善する経穴(足三里、承山、三陰交など)への施術
- 肝腎を補う経穴(太渓、太衝など)の調整
- 冷えを取り除くお灸や生活指導
こんなときは医師へ受診を:
・頻繁につる(毎日や週に何度も起こる) ・両足が同時につる ・しびれを伴う ・既往症(糖尿病・腎臓病など)がある → これらの場合は検査が必要なことがあります。
まとめ
足がつるのは、体からの小さなサインです。多くの場合は「血流の滞り」「ミネラル不足」「冷え」が関わっています。普段から次の3つを意識してみてください:
- 水分・ミネラルをしっかりとる
- 体を冷やさない
- 軽く動かして血流を良くする
これだけでも、つりにくい体に変わっていきます。もし何度もつって困る、痛みやしびれが強いという方は、どうぞ当院へご相談ください。体のバランスを整え、無理のないケアで改善を目指しましょう。